子供の物売り

    
 
 

 ホーチミン滞在3日目は、午後にスコールが来て、
 一旦やみましたが、夜になるとまた雨が降って来ました。
 多くの南国の住人がそうですが、雨が降っても傘をさしません。
 濡れる事が気持ちいいのでしょう。
 
 しかし私は、濡れるとキモチ悪いし風邪をひくので、
 日本から持って行った折りたたみ傘を出して来て、さしました。
 まずはそれが、最初の失敗でした。
 そうして地図を見て、レストランに向かって、
 最短距離で進みました。
 引き続いてそれが、失敗でした。
 夜の8時。表通りを歩けば良かったのです。

 裏道は暗く、ほとんど人が歩いていませんでした。
 「帰りは10時になるから、この道、やばいね。」
 と、話しながら、狭い歩道を前後になって早足で進みました。

 サイゴン河そばのロータリーに出ると、
 開けていて、ほっとしました。
 ロータリーなので、道が8本くらい集まっています。
 そこで地図を広げ、「あの道だね」と対角の道を指さしたのです。
 これは基本中の基本。やってはいけないことでした。

 1本道を渡ったところで、子供が走って来ました。
 「1$1$!」と、本を売りつけようとします。
 うちらは50のおばちゃんなので、
 どこへ行っても子供の物売りにしつこく追い回されます。
 でも、そうはいきません。
 私達は、子供の物売りからは絶対に買いません。
 バックに、子供を食い物にする悪い大人がいるからです。

 もう1人の子供が私にまとわりついていましたが、
 「NO! うるさいっ!!」と振り切りました。
 傘をさしていたので、ショルダーバックは、
 お腹のところではなく、お尻のところにありました。
 基本を忘れていました。

 レストランに入って、席につこうとして、気付きました。
 ショルダーバックのファスナーは全開。
なかにあるべき財布は、ありませんでした。

          

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